貝ボタンを知る
この記事について
昔のものや伝統があるものは、大量消費社会に呑まれ、消えかかっているのが現状です。
しかし、それを形を変え、「古く希少性があるもの」として新たな市場価値を付加され復活し、長く使われるものとして再興する動きや、形を変えずに懸命に活動している人が存在します。
それは、伝統あるものに美しさを感じたりする「美意識」や「感性」が存在するからであり、 これからも受け継がないでいかないと、いずれ消滅してしまう可能性があります。
この記事では、貝ボタンの説明とその作られ方、現状について紹介していきます。
今回は、手作りで作ることを大切にしているボタンメーカー「タカシマ」さんにいろいろなことをお聞きしました。
タカシマさんのHPはこちら↓
ボタン通販 貝ボタンメーカー卸通販専門店■タカシマ■
2020年6月2日 土曜日の店舗営業を再開させて頂きます(毎月第三土曜日のみお休み)また、6月から平日の営業時間を変更させて頂きます MON-FRI 11:00-18:00 SAT 12:00-17:00(第三土曜日のみお休み) 皆さま、暑い中マスク着用でのご来店にご協力頂きありがとうございます 2020年5月7日 …
ボタンに使われる素材
今日私たちが着ている服に付けられているボタンは、プラスチックなどの合成樹脂がほとんどです。
プラスチックが開発される以前、ボタンは木や紙、布、くるみ、金属などが主流でした。昔の貴族たちは、ボタンを富の象徴として、宝石や動物のツノなど、希少なものを使って美しいボタンを作りました。
貝も素材の一つにあたります。貝は、高級品として昔から大事にされてきました。
貝ボタンの歴史
貝ボタンは西洋で200年前から手作業で作られていました。鎖国が終わり、西洋の文化が日本に入ってくると、貝ボタンの作り方も日本に伝わってきました。
明治20年ごろ、神戸に作り方が伝わり、明治30年ごろには大阪の工場で本格的に作られるようになったそうです。
奈良県に貝ボタンの産業が広まったのは、農家の人たちが蚕業の代わりとして、副職がわりに始めたのがきっかけでした。
それが現在まで続き、今では日本の中で奈良県が貝ボタンの一大産地となっています。
使われる貝
高瀬貝
「button shell」と呼ばれるくらい材料としては最もポピュラーなもの。中身は食べられるそうです。
真珠の母貝
真珠を作るときに養殖される貝です。黒蝶、白蝶、茶蝶、アコヤなど多くの種類があります。天然物は数が取れないため、養殖したものをボタンに使用するそうです。
これらの貝たちは、主に南太平洋やフィリピン海などの暖かい海で取れます。
貝ボタンの作り方
貝ボタンの行程は20行程ありますが、大きく三つに分けて紹介します。
①貝をくり抜く
貝には個体差があるため、一つ一つ職人さんが、作りたいボタンの大きさに合わせて機械でくり抜いていきます。
くり抜いた状態の貝のことを「ブランク」と呼び、貝ボタンはこれから作られます。
このブランクの状態からボタンに加工する会社もあるそうですが、タカシマさんはくり抜く前の貝を直接輸入するそうです。
必要な時に、必要な分だけくり抜かれ、使い切るまで貝は保管されるそうです。
②貝を平らにして、型をつけ、穴を開ける
くり抜いただけでは平らな状態ではないので、表面を平らにする作業を行います。ここで厚みも調整するそうです。
整えられたブランクは機械で溝を作り、ボタンの形にしていきます。
そして穴を開け、ボタンの原型になります。
仕入れる工場が複数あり、ボタン穴の間の距離がそれぞれ違っているそうです。手作りで作るからこそですね。
③仕上げ
薬品で表面にツヤを出していきます。
その後、化車(がしゃ)という六角形の箱のようなものの中に、ボタンと、いぼた蝋というツヤ出しに使われる蝋をつけたもみ殻を入れ、回してボタンに皮膜をつけていきます。
こうやって貝ボタンは作られていきます。
貝ボタンの現状
近代化により作り方が伝わり、発展を遂げた貝ボタン。
機械化が進む社会の中で、どんな人に買われ、どんな現状があるのでしょうか。
どんな人に
手作業で作られている貝ボタン。一般的に使われているボタンとは違い、昔から高級品として認識され、扱われています。
上質な服を作りたいアパレルブランドはもちろん、デザイナー、クリエイター、テーラーの方や、洋服を自分で作ったりする人や、アクセサリーにするために購入する個人の方もいるそうです。
年代関係なく、良いもの、美しいものを作りたい方たちに貝ボタンは使われているのですね。
産業の今
以前は50件ほどあった奈良県の貝ボタン工場も、現在は減って6件と厳しい状況になってしまっています。
それでも、6つの工場で年間、約数千万個ものボタンが作られているのですから驚きです。
後継者が少ないのが大きな原因ですが、コスト削減のために海外で縫製をするために日本のアパレル業界自体が衰退していたり、異常気象による海面上昇によって貝がとれなくなったり、某国による貝の買い占め等など様々な問題があります。
今後貝ボタン産業がより衰退するのは間違いないとみていて、より一層産業を守る必要があると考えているそうです。
大量生産ではなく工芸品として
タカシマは代表さんが貝ボタンの会社に就職し、20年間勤めあげた後に独立をしたのがきっかけで、同業者が減少し、後継者が不足する中、産業を止めてはならないと立ち上げた会社なのだそうです。
タカシマさんは、貝ボタンを「日常の中の工芸品」として大切にしています。
その理由は、貝ボタンを「工芸品」として考えているからなのだそうです。
伝統的な工程や材料を使い、大部分が手作業で、日々の生活の中で使われるもの。それが工芸品です。
大量生産物とは違い、工芸品として。タカシマさんはそうして貝ボタン産業を残していきたいとおっしゃっていました。
そんな想いの篭った貝ボタン。後世まで残り、いつまでも大切にされて欲しいものです。
ボタン通販 貝ボタンメーカー卸通販専門店■タカシマ■
2020年6月2日 土曜日の店舗営業を再開させて頂きます(毎月第三土曜日のみお休み)また、6月から平日の営業時間を変更させて頂きます MON-FRI 11:00-18:00 SAT 12:00-17:00(第三土曜日のみお休み) 皆さま、暑い中マスク着用でのご来店にご協力頂きありがとうございます 2020年5月7日 …