2020 プラスチックからの脱却

はじめに

私たちの身の回りにあるプラスチック。それは2020年現在より100年以上前、ベルギーで生まれたベークライト(Bakelite)から始まり今に至るまでナイロンやアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリスチレン、ペットボトルのPETなど、様々な種類で発達し私たちの生活を豊かにしました。

それは家庭内での日用品に止まらず、私たちの生活のおよそすべての場面で目にする事ができます。そのため多くのプラスチック製品が毎日大量に生産されていますが、生産されれば消費もされます。ではその後はどうなるのでしょうか。

そう、その後の工程、すなわち”廃棄”に問題がありました。

プラスチックは基本的に石油や天然ガスなどの化石燃料から作られている合成樹脂です。これらは天然素材のように自然分解されずに半永久的に残ります。そのため使用済みプラスチックはポイ捨てなどで海に流れ出てしまった後、紫外線や物との衝突によって5mm以下の小さなプラスチック(マイクロプラスチック)に変わり、それを摂取した魚を介して私たちの人体に深刻な影響を及ぼします。

この問題は世界的に問題視され、その改善に向けて多くの国や企業が工夫を凝らしています。

各国、企業はどんな対策を考えているのか

国際社会において

海洋プラスチック問題は2015年9月「国連持続可能な開発サミット(SDGs)」で採択され2016-2030年の15年間で達成するために掲げた目標の一つに指定されています。

例えば、欧州委員会は2018年5月28日、大量に蓄積した有害なプラスチック海ごみ削減に向けてEU全域にわたる新しい規制を提案しました。
欧州の海岸や海に多く見られる使い捨てプラスチックゴミ10品目と漁具を、消費削減、市場規制、製品デザイン要求、ラベル要求、EPR(生産者の義務拡大)、分別収集対象にする、意識向上などの解決策と対応させてそれぞれの製品についてその後の目標を立てたりなど対応に追われています。

各国の取り組み

国際的な取り組み以外にも各国それぞれ、

イギリス:プラスチックストロー。マドラー、綿棒の店内使用・販売禁止。
フランス:プラスチック容器製造禁止。
イタリア:マイクロプラスチックを含有する化粧品の製造禁止。
台湾  :2019年より複数の段階に分けて飲料用プラスチックストロー、プラスチックバッグ、使い捨て容器・器具使用禁止。
中国・タイ:環境への危害が大きい個体廃棄物の輸入禁止。

などプラスチックを使用し、なおかつ不法投棄される可能性の高いものについて製造や販売の規制が行われています。

各企業の取り組み

セブンイレブン

コンビニ業界は、人々の生活と密接に関わりがあるため、そこでのプラスチックに関する扱いも積極的に改善しようとする動きが見られます。

中でもセブン・イレブン・ジャパンはおにぎりの包装をそれまでのプラスチック製の物から、植物由来の原料のバイオプラスチック製品に切り替えたり、ペットボトルのリサイクルを目的としたペットボトル回収機プロジェクトなどを行っています。

スターバックス

スターバックスも2018年7月、プラスチック製の使い捨てストローの使用を2020年までに世界中の店舗で全廃すると発表しました。今後はストローを使う必要のないプラスチックのふたを提供するほか、紙製や堆肥化可能なプラスチック製のストローを導入するとしています。 

その他企業の目標

コカ・コーラ:2030 年までに製品に使用するPETボトルの素材をリサイクル素材か植物由来PETの採用を推進し、50%をリサイクル素材にする。

マクドナルド:2025 年までに顧客用の包装容器を再生可能なもの、リサイクル製品のものを使用する。

アディダス :海洋から収集された再生プラスチックを用いた靴の製造を開始。一方で2018年から工場や小売店などでの新生プラスチックの使用を段階的に廃止。また、2024年までに、全製品に再生ポリエステルのみを使用する。 

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